「蒼海」創刊の辞
太陽の下、無垢に煌き渡る海原に眼を奪われるとき、このような雄大で深く真っ青な一句をいつか物することができればと思いを馳せる。
「蒼海(滄海)の一粟」という成句がある。これは広大な青海原に、極めて微小な一粒の粟が漂っていることになぞらえ、宇宙における人間の存在の微塵を譬えている。
天地のあわいに佇むとき人間は、ごく小さな儚い存在となる。そのことを自覚し、自然と交感しながら俳句を詠みたい。小さな人間が世界一短い詩を作るのである。だからこそ、尊い詩が生まれると信じたい。その謙虚な心持ちとともに自然を畏怖することがやがて、十七音の無限に拡がる妙音を感得できる精神を育てるだろう。
無辺なる宇宙にある小さな存在として、私たちは森羅万象に向き合い、時には無心に溶け込んで、己の身内から溢れ出る十七音を大事にしようではないか。
悠々たる蒼海を胸に、いざ俳句の千波へ漕ぎ出さん。
この蒼海を共に渡ろうとする者は、即ち同じ船に乗り込んだ同志である。
互いに目指すものは永遠にして遥かに遠い。
蒼海の一粟の上や鳥渡る
堀本裕樹
主宰・堀本裕樹
俳人。1974年和歌山県生まれ。「蒼海」主宰。俳人協会幹事。「いるか句会」「たんぽぽ句会」も指導を行う。
國學院大学卒。第2回北斗賞、第36回俳人協会新人賞、第11回日本詩歌句随筆評論大賞受賞。
二松學舍大学非常勤講師。2016年度、2019年度、2022年度「NHK俳句」選者。
堀本裕樹公式ホームページ
著書一覧
- 句集『熊野曼陀羅』(文學の森)
- 『富士百句で俳句入門』(ちくまプリマー新書)
- 『いるか句会へようこそ!恋の句を捧げる杏の物語』(駿河台出版社)
- ピース又吉直樹氏との共著『芸人と俳人』(集英社)
- ねこまき氏との共著『ねこのほそみち 春夏秋冬にゃー』(さくら舎)
- ピース又吉直樹氏とのメールマガジン『夜の秘密結社』
- 『春夏秋冬 雑談の達人』(プレジデント社)
- 『俳句の図書室』(角川文庫)
- 田丸雅智氏との共著『俳句でつくる小説工房』(双葉社)
- 穂村弘氏との共著『短歌と俳句の五十番勝負』(新潮社)
- 『ひぐらし先生、俳句おしえてください。』(NHK出版)
- ねこまき氏との共著『ねこもかぞく~ほんのり俳句コミック』(さくら舎)
- 『桜木杏、俳句はじめてみました』(幻冬舎文庫)
- 監修『五七五で毎日が変わる! 俳句入門』(朝日新聞出版)
- 『散歩が楽しくなる 俳句手帳』(東京書籍)
- 千野帽子氏、長嶋有氏、米光一成氏との共著『東京マッハー俳句を選んで、推して、語り合う』(晶文社)
- 第二句集『一粟』(駿河台出版社)
- 編著『猫は髭から眠るもの』(幻冬舎)
- 加藤シゲアキ氏との共著『1と0と加藤シゲアキ』(角川書店)
- 『海辺の俳人』(幻冬舎)
- 『才人と俳人 俳句交換句ッ記』(集英社)
- 『ことちゃんとこねこ リズムがたのしい5・7・5 』(ほるぷ出版)
堀本裕樹 自選十句
- 葉ずれみな言の葉となる五月かな
- 紙魚のぼりつめて天金崖なせり
- 耳は葉に葉は耳になり青葉闇
- 夕立来るおとやほどなく音のなか
- 那智の滝われ一滴のしづくなり
- 火焰土器よりつぎつぎと揚羽かな
- 銀漢を荒野のごとく見はるかす
- 詩へ螺旋階段のぼりつつ夜寒
- 冬蜂の事切れてすぐ吹かれけり
- ふるさとは血なり寒九の夜の水
蒼海俳句会のご案内
蒼海俳句会は、俳人堀本裕樹が主宰する俳句結社です。
2018年1月に活動を開始し、同年9月に季刊誌「蒼海」を創刊しました。
俳句経験者はもちろん、初心者の方も大歓迎です。
蒼海俳句会の主な活動は以下のとおりです。
・結社誌「蒼海」(季刊)の発行
会員は毎号10句投句し、主宰の選を受けられます。
・「定例句会」の開催
原則毎月開催。会員は3句投句できます(当季雑詠、兼題なし)。
・その他、各種行事を開催してまいります。
年会費(年会費は購読料を兼ねます)
一般1年 12,000円
学生1年(高校生・専門学校生・大学生・大学院生) 6,000円
※学生年会費の適用対象年齢は29歳以下とさせていただきます。入会申込時に学生証コピーの提出が必要です。
また、学生は定例句会参加費も半額となります。
入会方法
お名前(ふりがな)、年齢、メールアドレス、郵便番号、ご住所、電話番号などを申し込みフォーム、または下記住所までお送りください。ご入会の案内をお送りいたします。
※入会手続き完了までに3週間ほど掛かりますので、ご了承のほどよろしくお願いいたします。
〒160-0011
東京都新宿区若葉2-9-8 四谷F&Tビル
株式会社アドライフ気付 蒼海俳句会
個人情報保護方針
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